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グレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造


グレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造
            Zenph Re-Performance [Hybrid SACD]

 GLENN GOULD と言えば バッハ:ゴールドベルク変奏曲 と言われるくらいに有名な演奏である。
 しかしながら残念な事に彼の1955年の演奏はモノーラルである。 ステレオで聴けたらと思う人は多いはずだ。
 グレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造_b0133710_15453119.jpgこのCDは、録音されたピアノ演奏から、音程、音量、アーティキュレーション、ペダルの使い方といった演奏上の特徴を符号化するソフトウェア Zenph を使い、55年録音を現代の技術でよみがえらせ、実際にピアノで演奏させ、それをDSD録音したものだ。 使用ピアノは YAMAHA の Disklavier Pro 。 このピアノは、高精度MIDIファイルを家庭用 Disklavier の10倍の精度で再生可能というピアノだ。 録音場所は、グールドが放送用にゴルトベルクを演奏したトロントのCBCスタジオグレン・グールド・スタジオである。
 ディスクはハイブリッドディスクで CD、SACD それぞれにステレオ、バイノーラル・ステレオバージョンが、またSACDの5.1chサラウンドバージョンが収録されている。 

 グレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造_b0133710_1545498.jpgさて、このCDを聴いてみると、やはり最新テクノロジーの賜物だということを感じることができる。 あれこれ言わなければ、素晴らしい音質と自然なタッチで奏でられるゴルトベルクに驚く。 しかもステレオだ。 オリジナル盤の音質とは全く違うといってよい。 改めてグールドのゴルトベルクを見直した。
 しかしながら、オリジナルとは違うこともまた事実である。 実際グールド自身がこのような演奏を認めるかということもあるだろうし・・・きちんと人工的に再演されている分、細かいテイストの違いもあるだろう。

 評価は色々であろう。 音楽性を大事にする人にとっては1955年盤を越えていないというだろう。 それでも、一聴の価値はありそうだ。 本職でない私には、このCDでも構わない。

 なお、詳細な評論は宮澤淳一氏の以下の記事に詳しい。
 新しいピアノ演奏再生技術をどう位置づけるか (リレー連載「音楽論壇」第7回) 『レコード芸術』第56巻第7号(2007年7月):82-85頁
by ex_comocomo | 2012-04-19 14:55 | クラシックの楽しみ | Comments(0)
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