ステレオLPの歴史概観


ステレオLPの歴史概観

 アナログLPレコードのデジタル化に取り組んでいるが、今時の若い人のために少しLPの歴史を・・・

 録音の歴史は割愛するが、ステレオLPが出現したのは 1958(昭和33年) RIAA(アメリカレコード産業連合会)が 45-45方式採用決定してからである。
 ステレオLPレコードの形式は、WE(ウェスタン・エレクトリック)が開発した45-45方式と、英デッカが開発したV-L方式という縦振動と横振動の組み合わせ方式が発表されたが、モノラルLPレコードとの互換性などの面で45-45方式に統一された。 そしてこれに合わせるようにして、45-45方式ステレオカートリッジが発売されるようになったのである。 しかもリーズナブルな値段でである。

 45-45方式とは、それ以前に世界的に普及していたモノーラルLPとのコンパティビリティ(互換性)を重視した方式で、国際的に認可された。 つまり、新しいステレオLPを、モノーラルLP用のピックアップでかければ、そのままモノーラルとして再生できるし、ステレオ用のピックアップでモノーラルLPをかけてもまた、そのまま支障なく再生できる、というものだ。 もちろんステレオLPをステレオ用ピックアップで再生すれば、本来のステレオになる。

 このように互換性を重視したとはいうものの、現実には、非常に厄介な問題がいろいろ生じてきた。
 例えば、45-45LPを正しく再生するためには、ピックアップのカートリッジもアームも、モノーラル用のアレンジでは、どうもうまくゆかないのだった。 それも、音質が良くないというような問題以前である。
 針が45-45の複雑な音溝を正しくトレースできずに音が割れる、音がビリつく、歪むなどの問題である。
 また、ステレオLPは、水平・垂直ばかりでなく360度あらゆる方向に信号情報が刻み込まれているために、ステレオLPでは、各方向の振動も音として拾い上げてしまうので、モノーラル時代には気づかなかったターンテーブル(フォノモーター)の回転振動音がノイズになってしまうのである。  この様な状況の中で(ステレオ初期)、一躍名をあげたのがシュアーであった。 やはり名機には其れなりの技術が隠されていたのであった。
 日本でもグレースやDENON、そしてAudioTechnica 等からカートリッジが発売されたし、トーン・アームやフォノ・モータにも数々の名機が生まれた。 

 参考:
 想い出のグレースのカートリッジ 
 
 また、LPの盤の方にも色々な取り組みがあった。

 画像まずはRCAである。 当時、リビング・ステレオと称した、音が躍動する、生き生きとした生演奏のようなステレオが発売された。
 ステレオ録音が実用化した1950年代半ばから60年代初頭にかけての時期、RCAは、ステレオ録音の開発と発展にもっとも積極的に関わり、成果をあげたレコード会社だろう。 1953年10月にステレオ録音の実験を開始したRCAは、試行錯誤を経て、1954年3月、ライナー=シカゴ響のセッションで実用化にこぎけたのだった。 (日本ビクターの初リリースは、ギレリスのピアノ、フリッツ・ライナー指揮のシカゴ響「チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番」ほか)
 これらのサウンドは、約半世紀を経た現在でも、バランス、透明感、空間性など、あらゆる点で音楽的に優れた録音として高く評価されCDの再発がなされるくらいである。

次にコロムビアである。
 画像1961(昭和36年) CBSコロムビアは、「STEREO 360 SOUND」と名付けた録音方式で、自社レコードの優秀性をアピールした。 クラシックは、オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団やブルーの・ワルターのLP等が金色の豪華なジャケットで発売された。 
 ワルターのLPで最初に買ったのが定番の 運命/未完成のカップリングのもの。 未完成はNYPとの録音であった。 1958年録音で、購入したのは昭和40年頃(1965年頃)。 お粗末なステレオ装置で聴いても感動モノだった。 この録音方式は刺激感のないクリアーな音でセパレーションの良さが特長であった。

 画像この時代はある意味でステレオの全盛期でLPも豪華盤(大げさなケースに入ったスコア付の解説書等が入ったもの)が発売された。 
 エンジェルの赤盤、LONDON(デッカ)の優秀な録音も忘れられない。





 そして、時代は流れ 1982(昭和57) フィリップスとソニーが共同開発のCDを発売することになるのである。
 それから、僅か5年でCDの売り上げ枚数がLPを追い越すようになる。 LPレコード時代は幕を下し、ディジタル新時代を迎えるのだが、この時に選択を誤った企業は、次々に姿を消すことになるのである。


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by ex_comocomo | 2012-03-19 11:45 | オーディオ関連 | Comments(0)
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