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LPレコードのデジタル化(14): モーツアルト レクイエム・・その5


カール・リヒター指揮のレクイエム

 画像今、カール・リヒター指揮のCDはどの位販売されているのだろう。 既に過去の指揮者になってしまった感のあるカール・リヒター指揮のレクイエムなど聴く人は稀であろう。 精々、バッハのミサ曲を聴くくらいだろうか。

 さて、ここで取り上げるLPは1975年に「キング・レコード」から廉価盤の「決定版 世界の名曲シリーズ」の1枚としてリリースされたモーツアルトのレクイエムである。 再発盤のためジャケット・デザインも「廉価盤」を彷彿させ安っぽいが、演奏そのものは格調高い名演である。 
 録音は1960年であるから先日のカラヤンの1961年盤とさして変わらない時期である。 当時の1960年のステレオ録音にしては少し乾燥気味の録音だ。 テレフンケンの録音はこんな風であったのか・・・
 だがそれは、このレクイエムの価値を減じるものではなく、むしろ一種の「凄み」を加味している。

 カール・リヒターは第二次世界大戦後、バッハ演奏の世界で新たな潮流作った指揮者であった。 多くの名演があるモツ・レクではあるが、リヒターのレクイエムは燦然と輝いていると言っても過言ではない。
 
 最終楽章の声楽部でのソロと合唱の一体感は素晴らしい。 演奏は少し速めのテンポで進められていくが 独唱者にマリア・シュターダー(sp)、ヘルタ・テッパー(al)・ヨーン・ヴァン・ケステレン(t)・カール・クリスティアン・コーン(b)の名歌手を揃え、指揮者であるリヒター自らが結成したミュンヘン・バッハ合唱団、管弦楽団のアンサンブルが見事な演奏を奏でる。 バッハ的なモーツアルトではあるが、「Lacrimosa」の極めて厳しい、そして哀しみに流されることのない「涙の日」は絶品だ。 あまり取り上げられることはないかもしれないが、名盤の輝きを失うことはないと思う。

 「ラクリモーサ」 Lacrimosa of Requiem KV626 in d minor by Wolfgang Amadeus Mozart

 Lacrimosa dies illa, qua resurget ex favilla judicandus homo reus:
 Lacrimosa dies illa, qua resurget ex favilla judicandus homo reus:
 Huic ergo parce Deus. pie Jesu Domine,
 Dona eis requiem. Dona eis, dona eis requiem.
 Amen.

 画像モーツァルト:レクイエム K.626
 マリア・シュターダー(S)
 ヘルタ・テッパー(A)
 ヨーン・ファン・ケステレン(T)
 カール・クリスティアン・コーン(b)
 ミュンハン・バッハ合唱団
 ミュンハン・バッハ管弦楽団
 カール・リヒター(指揮)
 録音:1960年
 原盤の認識番号(マトリクスナンバー) TELEFUNKEN SteLP020557(SDLBT3390)、 キング GT-1120
 購入時期 1975年
by ex_comocomo | 2012-03-04 16:24 | クラシックの楽しみ | Comments(0)
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