葉加瀬太郎が30周年を祝し2021年に開始した、オーケストラコンサートツアー
葉加瀬太郎は、 1968 年、大阪府生まれのバイオリニスト、音楽家。 1990 年にバンド「 KRYZLER&KOMPANY( クライズラー & カンパニー ) 」を結成しデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演で世界的に知られるようになる。 96 年に解散後、ソロ活動を開始。 2007 年、ロンドンへ拠点を移し、ワールドツアーや全国ツアーなどを行っている。 今回は、オーケストラとともに 11 都市を回る全国ツアー。
フルオーケストラを従えてのコンサートツアーは本来、デビュー 30 周年を迎える 2020 年春に向け、何年もかけて準備されていた。しかし、コロナ禍により直前に延期が決定。 1 年後に実現したが、開幕後も会場変更や再延期を余儀なくされた。
そして今年 5 月8日、オーケストラコンサートツアーの最終日を東京国際フォーラム ホール A で迎えた。 葉加瀬太郎が30周年を祝し2021年に開始した、オーケストラコンサートツアー。それ以来2度目となる2022年のツアーのファイナル公演。
ちなみに、この演奏会は WOWWOW でライブ中継されるそうだ。
【開演 14:00 】
<第 1 部>
情熱大陸
AnotherSky
ひまわり
ブラームスの交響曲第 3 番第 3 楽章
MoonRiver
WildStallions
【休憩 20 分】
<第 2 部>
『ウエスト・サイド・ストーリー』メドレー
Onestep forward
WITHONE WISH
新世界
<アンコール>
チャールダーシュ
【終演 15:50 頃】
座席は 2 階席の最後列。あまりにも遠く顔が見えない。 残念だ!!
開演時間となり、坂本龍一さんのピアノナンバー「 hibari 」 がBGM として流され、それに合わせてステージ上に50人近いオーケストラとバンドのメンバーが席につく。
続いて注目の若手指揮者、水野蒼生 の指揮による壮大な「 overture 」 が鳴り響く。そこに燕尾服に身を包んだ葉加瀬太郎の登場だ。
今回のツアーの 1 曲目に選ばれた曲は「情熱大陸」 だった。普段はトリとして演奏されるメロディーを葉加瀬が奏でる。続いてオーケストラによる「情熱大陸」の演奏が続く。大迫力の演奏は今までの情熱大陸を大きく変えるものだ。そして最後の最後にテューバが大音量で吹きまくる。
1 回目の MCが 終わり、 2 曲目は『 AnotherSky 』。 「 AnotherSky 」はバイオリンのゆらぎが美しい曲だ。
続いて 3 曲目は、おなじみの『ひまわり』 である。 黄色の照明が使われて、舞台がパッと明るくなる。弦楽器の音色が切なく優しく響きオーケストラでしか味わえない大きな音のうねりが伝わってくる。
バイオリンとオーケストラの競演は迫力満点。甘美で情熱的。優雅さ、上品さ‥等々の表現があてはまるかな~~~
2 回目の MC で、「ここまででやった 3 曲、どれも言ってみれば葉加瀬太郎の代表曲です。あ、ちなみに今回エトピリカはやりませんとのアナウンス。でも代表曲は全部やった。にわかファンはここで帰っても、葉加瀬太郎のコンサート行ってきたって言える」と、笑いを取ってくる。
次は、映画音楽のリレー。 今回は 1961 年公開の映画『さよならをもう一度』より、『ブラームスの交響曲第 3 番第 3 楽章』 の演奏である。葉加瀬太郎は常々ブラームスが好きだと言っている。
クラシック曲で映画のために使われる例は多い。 モーツアルトのピアノ協奏曲などもそうである。
ちなみに私が初めてブラームスの交響曲第 3 番 をレコードで聞いたのはフルトヴェングラーの指揮したエンジェルのLP 盤である。 この時に 3 楽章 の美しさに感動したことを思い出す。
続いては、『ティファニーで朝食を』より『 MoonRiver 』。 作曲はヘンリー・マンシーニ。オードリーヘップバーンも良かったなぁ~~~ 途中でのグッズ販売は、チェロの柏木広樹さんがブレンドした『はかセイロンティー』。お茶菓子には『はかセサミクッキー』。
それに、葉加瀬太郎シグネイチャーモデルのヴァイオリン『アントニオ・タロンティーノ』。 198,000 円だそうである。
1 部ラストは『 WildStallions 』。 『冷静と情熱のあいだ /Calmi Cuori Appassionati 』 にあるメロディー。 初めて聴いたがすごく カッコいい音楽で編曲も素晴らしい。
指揮者の水野蒼生 さん 、カッコ良かった!
参考:水野蒼生
1994 年生まれ。 2018 年にクラシカル DJ として名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからクラシック音楽界史上初のクラシック・ミックスアルバム「 MILLENNIALS-WeWill Classic You- 」をリリースしてメジャーデビュー。同レーベルが主催するイベント「 YellowLounge 」の東京、そしてベルリン公演に出演。
国内最大級のクラシック音楽フェス「 LaFolle Journe TOKYO2019 」に連日出演し好評を博す。またその様子が NHK 教育テレビにてドキュメンタリーとして放送され大きな反響を得る。 2019 年 11 月横浜音祭りクロージングコンサートに指揮者として出演。 MayJ. 、葉加瀬太郎の両氏のバックで横浜シンフォニエッタを指揮。
ザルツブルク・モーツァルテウム大学オーケストラ指揮及び合唱指揮の両専攻の第一ディプロム ( 学部相当 ) を首席で卒業。
欧州では 2015 年夏にザルツブルク州立歌劇場の音楽監督エイドリアン・ケリーのアシスタントを務めるほか、バートライヒェンハル管弦楽団、南ボヘミア室内管弦楽団、ハンガリー国立ブダペスト歌劇場管弦楽団などのプロオーケストラを指揮する。
これまでにオーケストラ指揮を井上道義 ( 講習会 ) 、ペーター・ギュルケ、ハンス・グラーフ、アレクサンダー・ドゥルチャー、ブルーノ・ヴァイル各氏に、また合唱指揮をカール・カンパー氏に、現代音楽指揮をヨハネス・カリツケ氏に師事。
20 分間の休憩を挟み、 2 部のスタート。 2 部の葉加瀬さんは、ダークレッドの燕尾服。
2 部 1 曲目は『ウエスト・サイド・ストーリー』メドレー だ。 映画を何回も見たしナタリー・ウッドのファンになった。作曲者のレナード・バーンスタインといえば、指揮者のイメージの方が強いが若いころは作曲も多い。多彩な人だ。
私が初めて レナード・バーンスタインを CD で聴いたのは ショスタコーヴィチの交響曲第5番 。 バーンスタイン=ニューヨークフィル の第一回目の録音のものである。 音質は 1959 年と古い録音の割には良かったと記憶している 。 凄い熱気があり アメリカの指揮者らしい演奏だったと思う。
2 曲目はテレビ朝日系スペシャルドラマ『津田梅子 お札になった留学生』より 『 Onestepforward 』。 「いい曲ができた」と自画自賛する曲だけあっていい曲だ。ほんとにこの人は、すごいメロディーメーカーだ。ドボルザークみたい!!
次は驚きの人物の登場!! 葉加瀬さん・・・のような方の登場である。 正体はオーボエ奏者の最上峰行(もがみ たかゆき)さん。そんな最上さんとのデュエット曲は『 WITHONE WISH 』。 ヴァイオリンとオーボエの温かく穏やかな旋律が美しい。 本編ラストは新世界「フロム・ザ・ニュー・ワールド」。 1 曲目の『情熱大陸』と最後の『新世界』は、ブラスの響きが凄いのである。 アーティキュレーションが素晴らしく原曲のイメージを覆してくれる演奏だ。
一方、しみじみとした新世界なら イシュトバン・ケルテスの新世界だろう。
アメリカに長期滞在中だったドヴォルザークが、新天地で出会った様々な音楽を取り入れながら祖国ボヘミアへの郷愁を綴った《新世界より》は、ノスタルジックな旋律に溢れた名曲。特に第2楽章の哀愁に満ちた旋律は「家路」のタイトルで広く知られている。
ハンガリー生まれの名指揮者ケルテスが名門ウィーン・フィルを指揮した演奏は、彼の才能を世に知らしめた名盤であろう。
そして。。。ど派手な演奏に呼応するような大きな拍手で本編終了。
葉加瀬さんと指揮の水野 さんは一旦袖に引っ込みますが、拍手に応えてアンコールへ。
アンコール曲は『チャールダーシュ』。 リズムは軽やかでも一音一音に力強さを感じる演奏だ。同じ曲でも、弾き手によって表現が全然違う。そして全曲終了。
VIDEO
今回は久しぶりのコンサートで心の底から演奏を楽しむことができた。
今回はオーケストラとの演奏ということだったが、そこはやはり「葉加瀬太郎ワールド」。クラシックな要素はたっぷり詰めながら、その中にポップスな味付けもあり、さらにソウルやロック、ジャズのエッセンスも入っている。
やっぱり、生演奏会は、本当にいいな〜と感じるひと時でした。